こころがどこかへいっている
ときどきある。
というよりも、旅のさなかは殆どずっとそうだった。
こころここにあらず感。今を生きていなくてどこか遠くを夢見ているような。
旅の中でいちばん困ったというか悲しかったことは、
「楽しめない」という想いに占拠されたことで、
「楽しまなければ」という義務感にやられた。
楽しんでいない自分に罪悪感を感じて苦しかった。
こころから楽しくて仕方ないと思って見ている景色とはきっと違う。
わたしの眼に映る景色は載せた写真のようにフィルターがかかっていて少し薄暗い風景だったし、
全てのものを簡単にステキだとは思えなかった。
夢のように美しい海の中の風景は夢の中の出来事のようにしか記憶されていない。
ただ神に捧げる祈りを送る人々の姿やセレモニーの格好をした人々の姿には心奪われた。
どうしてもっとシンプルに生きられないのだろう。
それはわたしが物事を複雑に考えているからってことはわかっている。
でもいまわたしは全てがこわい。